思わず来たものの、がいるかわからなかった。

電話をしようか。あの時みたいに、外に飛び出しては、来ないだろうけどな・・・。


「はい」


「志波だけど・・・」


「志波くん!?」


「ああ・・・。今家にいるか?」


「う、うん。いるよ」


「今、お前ん家の近くに来てて―――」


「ほんと!?待ってて!!」


電話は切れた。少しするとが現れた。また、あの時と同じだ。


「くくっ・・・」


思わず笑ってしまった。


「何がおかしいの!!」


が怒鳴った。俺は驚いた。の目はうるんでいた。


「私・・・もう・・・・耐えられない。わかったって言ったけど、やっぱりわかれない。
 私は志波くんの夢について行きたい。邪魔にならないようにするから。わがままなのはわかってる。
  だけど・・私は志波くんが好きだから・・・だから・・・側にいさせて」


俺はのせいにして、ただ逃げていただけなんだ。が辛いからじゃない。

俺が辛かっただけだ。最低だよ、俺は。を逃げ道として使った。そんな酷い俺を、好きだと言ってくれる。


「・・・・ごめんな、お前にそんなこと言わせて。俺もお前がいなきゃ、ダメだ。
 お前がいないと、俺が壊れる。本当にもう、離さない。絶対に・・・」


はにっこり笑って泣いていた。愛しいくて抱きしめた。強く強く、抱きしめた。


「・・・体、熱いぞ?」


「あ・・・ちょっと風邪っぽくて」


「え?」


「だ、大丈夫だよ?」


「本当か?」


「うん」


「・・・キスしたら・・・俺に風邪・・・うつるかな」


「え?」


「・・・・風邪引いたら、一緒に寝てられるだろ」


はクスクスと笑いだした。そして言った。


「ダメだよ。1日休んだら3日分になるって言うでしょ?レギュラー取られちゃうよ」


「・・・お前を誰かに取られるよりマシだ」


「嬉しいけど・・・ちょっとクサイね」


「あ・・・シャワー浴びてなかった。・・・・臭うか?悪い・・・」


は笑いだした。俺はよくわからなかったけど、なんだか笑えた。

こいつが笑っていたら俺も笑っていられる。




もう見失わない。


ずっとこの手を繋いでいるから。


もう二度と離さないから。


一緒にいよう。


一緒に笑おう。




俺の隣には、お前が必要なんだ。



















船子の部屋