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「お前が大人になったら教えてやるよ」 先生は笑ってそう言った。 愛が故に 白衣を来た先生が黒板に文字を書く。その手に触れたい。話をする動く口。触れたいと思う私は、変な子ですか、ねぇ、先生。 「じゃあ、これは?」 突然問題を当てたことより、名前を呼ばれたことに胸がドキドキする。 「・・・はい?」 「おい、ちゃんと聞いとけよ」 「すみません・・・」 先生も私の話を聞いてください。そう言いたかった。 先生はいつも自分の用件しか言わなかったし、私がキスをしてと言ってもしてくれなくて、いつも先生の気分だった。 悪いことだとわかっている。先生と生徒が付き合うだなんて。先生に迷惑はかけたくない。だけど甘えたい。そんな気持ちが交差する。 行き場のない気持ちが蠢いている。 「」 授業が終わった後に先生が私の名前を呼ぶ。悲しいぐらいに嬉しい。 「お前、今日ヒマだろ」 「テスト前ですけど」 「だからヒマだろ」 「だから忙しいんです。それが教師の言うことですか?」 「赤点まみれが勉強するとは思えないけどなぁ・・・」 くそう。悔しい。そうだよ、勉強なんて全然してないよ。アホと呼ばれても何も言い返せない。 「何か用事ですか?」 「別に。だけどアレだろ。テスト前なら一緒にいても大して不審がられない。な?」 嬉しい。顔が笑ってしまう。だから私は下を向いた。その喜ぶ顔を先生に見せるのが、何かしら悔しかった。 「じゃあ、いつもの教室にいっからな」 私の頭をくしゃっとして、先生は立ち去った。くそう、くそう・・・・嬉しい。 先生は何を考えているのかわからない。だけど人の心を掴むのは上手いと思う。だって私は、こんなにも先生のことで振り回されるんだから。放課後を、こんなにも楽しみにしている。 放課後、私はいつも先生と会う教室に行った。 「おう、」 「あ、さん。さんも質問?」 先生は私のことを何だと思ってるんだろう。どうしてそこに、志村さんがいるの?私が来るまで、2人っきりだったんじゃないの? 「あ・・あぁ・・・・そう。志村さんも質問?」 「うん。どうしてもここがわからなくって」 「志村、ほら説明するぞ」 「はい」 よくよく考えればおかしなことじゃないか。私みたいな女を先生が好きになるなんて。絵になる二人。私の居場所は無い。先生と私はどうしても、絵にならない。 「ありがとうございました。じゃあね、さん」 「バイバイ」 志村さんがピシャリと扉を閉めて出て行った。私はずっとただ立っていた。 「座んねぇの?てか、座れよ」 「・・・・・」 「あぁ、妬いてんだ?違うって。質問あるって言われてさ、お前待たしたら悪いと思ってここで教えてた。はい、ちゃん納得!」 ふざけて私の名前を呼ぶ。やめてよ。笑えない。 「・・・・しないよ。納得なんか」 「なんで?」 「先生にとって私って、結局その他大勢の中にいるガラクタみたいなモンなんでしょ?相手にしてくれる子なら誰でも良かったんでしょ?志村さんも、きっと先生の相手してくれるよ」 「・・・ぶっ殺すぞ、テメェ」 先生がとても冷たい目で私を見て、その言葉を放った。身震いがした。どうしよう。怒らせてしまった。どうしよう。恐怖で動けない。 「お前、そんなこと思ってたのか。俺の気持ちは何一つとしてお前には伝わってねぇのか?なぁ?言葉じゃわかんねぇんなら、態度で示してやるよ」 先生が立ち上がって私の肩を掴んだ。私は動けず、目だけを上にして先生を見た。 「教えてやるよ」 肩に置かれた手に力が入る。痛い。そしてその手で私の体を押して、壁に背をつけさせた。 先生の体が私に重なる。先生の手が私の太ももをなぞる。 怖い。 「いや・・・だ。先生・・・いや!やめて!!ごめんなさい。違うの。だって・・・私、先生のこと好きすぎて気が狂いそうで・・・・」 先生の体が私から離れる。先生は笑ってる。 「よく言えました」 「え?」 「あんなぁ、俺だってお前のこと好きなんだ。ガラクタだなんて思ってねぇ。志村なんか眼中にも無い。お前だけ見てる。お前がいいんだよ。お前には悪いと思ってるよ。学生同士の付き合いじゃないから、お前が想い描くような付き合いが出来なくて。お前が辛いのだってわかってる。だけど俺だって辛いんだからな」 良かった。私は先生に出会えて、先生を好きになって、先生に好きになってもらえて。本当に良かった。 「先生・・・大好きです」 笑って私は先生に言う。 「はいはい、わかってます」 照れたように私から目をそらす。 「さっきの続き、教えてください」 恥ずかしながらも私は言った。もう怖くはない。だって先生の気持ちを知れたから。 先生はじっと私を見た。 「お前が大人になったら教えてやるよ」 先生は笑ってそう言った。 |