体育の時間に見上げた校舎の屋上に、彼はいた。






















屋上の鍵






















屋上は確か立ち入り禁止のはずだった。もしかしたら私の知らない間に立ち入り禁止ではなくなったのかもしれないだなんて思った。


「はぁ?屋上?立ち入り禁止だ。行くんじゃねェぞ」


銀八先生に聞いたらその答えが返ってきた。
―――― 彼はなぜあそこにいたのだろう。
高杉くんのことを私はあまり知らない。知ってる人はいるのかさえわからない。一匹狼みたいで、特に誰とも仲良くないみたいだった。だからか知らないけれど、変な噂がたっていた。結構ヤバいことをしてるとか、危ない人と関わりがあるとか。
だけど誰も真実は知らないように思えた。


「はい、じゃあここ・・・高杉」

「ACベクトル」

「正解」


飄々としながら、彼は優秀だった。だから余計に人を寄せ付けなかったのかも知れない。
いや、彼が壁を作っているだけかもしれない。
ある日の体育。また彼はいなかった。私は校舎を見上げた。そして彼はいた。屋上に。
なぜだろう。それから彼に目がいってしまう。つい見てしまう。目が勝手に、彼を追う。
髪を棚引かせながら歩き、眼帯が時折ハッキリと見える。ふと目が合えば、私から目をそらす。

また体育の授業がやってきた。私は友達に保健室に行くといって、屋上に向かった。
ドアノブに手をかざす。回るはずのない取っ手が回る。扉を引けば、光がこぼれ出す。扉の向こうには、やはり彼がいた。


「何・・・してるの?」


初めて彼に向けた言葉。彼は私のほうを見ずに答えた。


「お前もだ」

「あの・・・わた・・・私は・・・その・・・・高杉君が・・・・いつも体育の時に・・・・」


言葉が出てこない。何を言っていいのかわからない。心臓がおかしいぐらい鼓動する。


「そういえば、は見てたな。たまに上を見上げてた」


彼の声が心地良い。屋上は風が強い。風に揺れる彼の髪が、綺麗で吸い込まれそうになる。その背中が、どうしてか妙に悲しい。


「何度か、目が合った気がした」


彼が振り返り、私を見た。手を伸ばしてくる。


「ほら、来いよ」


私は足を踏み出す。驚きがあった。彼がそんなことを言ってくれるだなんて、思ってもいなかった。
彼の横に、フェンスの前に、私は立った。


「どうして、体育出ないの?」

「めんどくさい」


横にいる彼をじっと見る。こんなに近くで彼を見るのは初めてだ。吸い込まれそうになる。気が変になるくらい、私は彼が好きだ。いつの間にか、そんな感情が芽生えていたんだ。


「何見てんだ」

「あっ・・ご・・ごめんなさい」


私が慌てて顔を逸らすと、彼は私のあごに手をやった。何かと思う暇もなく、彼が無理やり私の顔を彼の方へ向けた。
避けることができなかった。近づいてくる彼の顔。触れる唇。口の中への侵入者は、私の舌と絡むことを望んだ。
彼の顔が離れていく。手も離れる。なのに私は自らの意思で彼の方を見ていた。


「お前、俺のこと好きだろ」

「え?」

「これ、やるよ」


彼が差し出したのは鍵だった。


「何、これ?」

「ここの鍵。なら、いつ来てもいい。それに今度は、もっといいことしてやるから」


そういって彼は笑った。初めて見た笑顔だった。少しの怖さがあったけど、私は彼に笑顔を返した。


屋上の鍵。あなたの心の扉を開く鍵だなんていったら、あなたはきっと私を馬鹿にしたように笑うだろう。だけど、そう思っていたい。
あなたに繋がる階段を上った時、私の心は幸せ以外の感情を跳ね除けたんだから。












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   奴らがしたのはまさしくベロチュー。
   高杉のキャラが書ききれてない・・・orz

   企画「schoollife is my life」様に捧げます。