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I watch only you 「どこ行くんだっけ?」 知っているのに私は何度も彼に聞く。彼は嫌そうに答える。 「アメリカ」 「NBAのスターになるんだ?」 「なれたらいいなと思う」 「なんだそれ。もっと自信持てばいいじゃない。目標は誰?やっぱりマイケル・ジョーダン?それともケビン・コスナー、マジック・ジョンソン、アレン・アイバーソン、コービー・ブライアント?」 「適当に知ってる名前出しただけだろ・・・」 「・・・・悪い?」 「別に・・・」 高校3年になって受験だっていうのに、私は好きな人に告白をした。曖昧な気持ちがあったままじゃ、勉強がはかどらないと思ったから。フラれる覚悟で告白したのに、まさかのOK。 そして私は天才バスケットボールプレイヤー、流川楓の彼女となった。 「つまんないでしょ?あたしといても。あんまりバスケの話わかんないから」 「そんなことは無い」 流川はいつも何を考えているのかわからなかった。一緒に帰っても流川の家は近いから、残りの道を私は独りで帰る。送ってほしいような気もするけど、悪い気がして何もいえない。それに部活で疲れているから。バスケでアメリカに行くから、部活は引退したけど行っている。 「は・・・大学か?」 「うん。私賢いから」 流川がふっと笑った。たったそれだけで、私は幸せになれた。 もう2学期も終わりだった。冬休みになったらもう流川は渡米する。卒業式には来ない。もうすぐサヨウナラ。そのことについては、私は何も聞けなかったし流川も何も言ってこなかった。 冬休みに入ってから私たちの関係がどうなるのかは、まるで想像もつかなかった。 「じゃあな」 「バイバイ。また明日」 もうすぐ言えなくなる「また明日」を私は最後まで言っていたいと思った。少しでも長く一緒にいたいと思った。テスト期間だから今は一緒に帰れる。テストが終わったら学校は短くなって、また部活があって、そしたらもう・・・終業式。もうすぐそこ。 家に帰ったら勉強。 その時に私は考えてしまう。流川には夢があって、それのために努力をしてる。私はなんの夢があって、目的があって大学に行くんだろう。ただ平凡な人生を、なんの支障もないように、そつなく生きれるようにただそこに行く気がして。そしたらそれは、実に夢も希望も無いな、なんて思えてしまう。それはきっと、流川を見ているからなんだろう。夢追い人を。 季節や時間の流れは一定のはずなのに、速く感じる時があったり遅く感じることがあったりする。そして最近は妙に早く過ぎ去った。新幹線に乗って窓の外の景色を眺めているだけのように、私は何もしていないのに周りがどんどん動いていっていた。 終業式での校長の話はよく耳に入らなかった。前のほうで嫌いな人が喋っている声のほうが妙に耳に入ってきた。横を見たら立ちながら寝てる器用な人が居た。 3学期になればもうほとんど学校に来ない。自分との戦いとでも言おうか。この当たり前にあった空間が奇妙に見える時が来るのだろう。新しい当たり前を手に入れて、過去は奇妙な景色に見えるのだろう。 「」 下駄箱で流川の声が私の名前を呼んだ。私は泣きそうになった。だけど笑顔を作って答えてみせた。 「なに?」 「話があるんだ」 何を言われるのだろう。何を言われても、私はそれをすんなりと受け入れようと思った。流川の邪魔をしたくはなかった。 二人で帰る最後の帰り道を、私は忘れないように目に焼き付けた。 「俺、もうすぐアメリカに行く」 横でする流川の声も、もう聞けなくなる。 「知ってるよ。何回も聞いた」 笑え。笑え。泣いたらダメだ。流川が悪者になる。流川は何も悪くない。泣くな。泣くな。 「それで・・・・・別れよう」 泣くな。泣くな。笑え。笑え。 「うん・・・。わかった」 何処かでわかっていた。大丈夫。笑える。笑って言える。サヨナラって。頑張れって。 「・・・・上手く言えないけど・・・俺はお前のことちゃんと好きだった。だけどやっぱり俺にはバスケのほうが大切なんだ。俺からバスケとったら何も残んねぇし・・・。だからごめん。・・・・ありがとう」 どうして・・・そんな言葉をくれるのだろう。どうしてそんな・・・ことを・・・・・言ってくれるの。涙が出そうになる。 「・・・わかってるよ。だって流川はバスケしてる時が一番カッコいいもん。私は流川からバスケとりたくないし、バスケしてる流川が好き。だからいいの。気にしないで」 頬を伝った涙を、流川が制服の袖で拭いてくれた。私は笑って「ありがとう。ごめんね」と言った。そしたら流川は私を抱きしめてくれた。そして小さな声で言った。 「ありがとう。ごめん」 今思えば、私たちは手をつなぐこともしなかった。ましてキスなんてものもしなかった。あの時抱きしめられたのが初めてで、初めて流川に触れた瞬間だった。 それから数日後、流川が渡米する日がやってきた。私が家でボーっとしていると電話がかかってきた。 「もしもし?」 「あ、ちゃん?どうしたの?早く来ないと流川くん行っちゃうよ」 「あぁ、晴子ちゃん?いいの。もう別れたし」 「えぇっ!」 晴子ちゃんは良い子だな。自分だって流川のこと好きなのに、私の背中を押すなんて。 「流川には晴子ちゃんの方が良かったんだよ」 「何言ってるの!そんなことないから。早く来て!」 「だって・・・邪魔になるでしょ?」 「そんなこといいのよ!ちゃんは会いたくないの?」 会いたいか、会いたくないか?そんなんの、会いたいよ。会ってちゃんとサヨナラを言って、頑張れって。私のことはもう忘れて、罪悪感なんて持たなくていいって言って・・・・。 「行ってもいいかな・・・?」 「うん」 私は家を出た。最後に言いたいことがたくさんあるよ。私には言わなきゃいけないことがある。言いたいことがある。だから、あなたに会いたい。会って言いたい。 空港に着くつと、すぐに流川がどこに居るのかわかった。デカイ人が集まっているところがある。そこだ。そこにいる。流川が・・・。 「か・・・・・楓っ!」 私はそう言った。周りを囲んでいた人もみんな私を見た。流川は驚いた顔をして私を見た。晴子ちゃんは笑って私を見て、そして周りに居る人に向こうへ行くように言った。「ありがとう」と心の中でつぶやいた。 みんながいなくなり。私は私より30センチ近く大きい流川を見上げた。 「あ・・・あの・・・・私は・・・本当にルカワのこと好き。だからね、私待っててもいいかな。見返りはいらないから、ただ好きでいさせて。それで、選手になったときに観に行った時はキモいとか思わないで。ファ・・・ファン。ファンとして観てるんだって。あの・・・ちょっと過激なファン・・・・。ね?」 流川はふっと笑った。 「だったっけ?」 「へ?」 「名前」 「なっ・・・・ひどっ」 「、ありがとう。気が向いたら会いに来る」 「会いに行ってもいい?」 「勝手にしろ」 最後に言おう。あなたへ。愛しい人へ。 「応援してるから」 「おう」 ルカワの乗った飛行機は空へと飛たって行った。夢を追う人を、夢の舞台へと。 それから何年後か、私はまた名前を呼ぶ。「楓」と。そして彼は呼ぶ。私を「」と。 ------------------------------------ 初 SLAM DUNK こんなんでよろしいのでしょうか。 |