耳障りな音がする。もう絶対に出ないと決めたんだ。







着信拒否







機械オンチな自分が憎い。どうやったら着信拒否が出来るのかわからない。だから私は音をたてている携帯を見てみぬフリをした。
うるさくてたまらない。私はそのうるさい携帯を手に持って夜の闇に溶けこんだ。近所の公園に行き、砂場にそれを埋めた。音は聞こえなくなった。
静かな夜の空を見上げる。嫌なはずなのにあいつのなことを思い出す。




『土曜日、仕事休みになった』


彼からの電話。素直じゃないトシはそこで言葉が終わる。だからどっかに行こうというのはいつも私のセリフ。


「じゃあ映画観に行こうよ」

「じゃあ勝手にみたいのとか時間とか決めといて」

「うん」

「じゃあ」


電話が切れる。なんだか切ない気持ちになってしまうのは、何も優しい言葉を言ってくれないからだろう。求める私が悪いのか・・・。





約束の土曜日。彼からの電話は仕事が入って来られないというモノだった。


「ねぇ、トシ」

『なんだよ。早く現場行かねぇといけねぇんだよ』

「もう私、疲れた」


そう言って私は電話を切った。
一人で映画を観るのは楽しかった。感動映画でも無いのな泣いたのは、なんでだろう。
映画が終わって携帯の電源を入れてみる。彼からの着信は無い。そんなもんかと携帯を閉じた。
夕方ぐらいに電話がなり始めた。私は出ないと決めていた。だからでなかった。
それは昨日の話で、今日は朝から電話が鳴っていた。一回電源を切ったけれど、友達からメールが来るので電源を入れておくことにした。
鳴り止まない音。言いたいことがあるなら、電話に私が出ないなら、家にくればいい。
いつも理由は仕事。もう聞き飽きた。






埋もれた携帯をそっとみてみる。音は鳴っていない。私はそれを拾い上げ、家に続く道を歩き出した。


「何してんだ、

「!?」


公園出口近くのブランコにトシが座っていた。


「家行こうとしたらお前家から出てきて、公園行って携帯埋めだすからびびったよ」


ブランコから降り私の前に立つ。嫌な奴だ。そうやって私を見下すんだ。


「ごめんな。いっつも仕事ばっかで」

「市民の安全のほうが大事だよ」


冷たい笑いで私は言ってやった。


・・・・俺たち、終わるのか?」


そこで、いつも大事なことの前で言葉が止まる。
それを嫌だとは言わないの?別れたくないとは言わないの?どうして何も言わないの?


「・・・ばっかじゃないの!!嫌いになったんなら怒るわけないじゃん。好きだから寂しいとか思っちゃってこんな風になるのよ!!なんでわかんないかな」


大好きだから愛しいの。大好きだから会いたいの。大好きだから一緒にいたいの。大好きだから困らせるの。
トシが私を抱きしめる。少し笑ってる。


「何がおかしいのよ」

「だって・・・可愛いから」

「なっ・・・ばっ・・ばっかじゃないの」


トシは笑う。私は照れてトシの顔が見れない。


「お前ん家行こう」


手を繋いで歩き出す。
あなたが来てくれるならこれからもしてやろう。着信拒否。











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   家に行ってなにするんでしょうね。
   20070728