いつも朝礼が行われる部屋に真選組全員が集まっていた。そしてみな、前に立つ近藤をじっとみていた。
特に沖田と山崎は、先ほど見た光景についての説明だとわかっていたので、ひと際鋭い目をしていた。



「トシは死んだ。それは真実だ。だけど・・・蘇った。正しく言えば、アンドロイド。人造人間だ。幕府が金を払い、トシを蘇らせた」



淡々と近藤が言ってのけた。部屋がざわつく中で沖田が声を出す。



「どういう理由で幕府が金を出したんですかィ?」



ざわつきがなくなり、沖田の質問に対する答えを皆が待っていた。



「幕府は最近、新たな政策をとるべく準備をしている。その最中に幕府の管理下にある組織から死者が出ることは、耐え難いこと。死を消すためにトシは・・・」



近藤の言葉が途切れる。深呼吸をしてから、また話し出した。



「トシはトシであってトシでない。人間関係とかはデータとして入っている。といっても、最低限のデータで、精々真選組のことぐらいだ。あまり、いらん知識を植えつけないように」

「植えつけられるんですかィ?」

「言ってしまえば赤ん坊のようなモノだ。知らないことを知ろうとするだろう」



誰ももう、何も言わなかった。なんだか妙に寂しい空気が流れていた。誰も土方が蘇ったことを喜んでいる様子は無かった。








「銀ちゃん、いいアルカ?」



前を歩く銀時を追いながら神楽が聞く。



「そうですよ銀さん。幕府に何されるかわかりませんよ」



神楽の横で神楽と同じように銀時を追いながら新八。



「まぁいいんじゃね。それより、裏を探さなきゃな。なんで土方の死を隠したがるのか」



ふと、銀時の足が止まった。



「銀さん?」



そう言って新八は前を覗いた。その真似をするかのように、神楽も前を覗いた。



「「え!?」」



新八と神楽が声をそろえて言った。



「テメェ・・・誰だ?」



銀時が自分の前に立つ人に言葉を向けた。



「あぁ?真選組副長、土方十四郎だ。テメェは・・・・・データにあるな。万事屋だな。詳しくはわかんねぇけど」

「データ?」



銀時は何のことかわからず、オウム返しに聞いた。



「お前らと関わってるヒマはねぇ」



そういうと土方は銀時たちの横を通って行ってしまった。



「幕府が来た理由ねぇ・・・・」



去っていく土方をチラリと覗くようにして見ながら、銀時がつぶやいた。



「あれ、多分・・・」



新八が口を挟む。



「あぁ、アンドロイドだろう。最近巷で流行ってる」

「あの幕府が持ってきた紙に、サイン、しといたほうが良かったんじゃないですか?」



心配そうに新八は銀時に尋ねた。銀時は少しだけ困ったような、そして笑ったような顔をして



「後の祭りだ」



とだけ言った。



「ちょいと、屯所に行ってみるか」



銀時はそう言い、足を屯所のほうへと進めた。新八も神楽も、何も言わずに付いていった。


知りたいことは、いつもどこかに隠されている。
見つけたとしてもウソかもしれない。
ただ知らなければならない。
なぜ、土方十四郎がいるのか。
死んだ人間が生き返るなど、きっとあってはならないことだ。

人の死を知っている銀時は、そんな思いをひっそりと抱いていたのだった。







next




------------------------------------
   悲しみを笑い飛ばせたら。
   そこまでの強さはいらないよ。