03















沖田は自分の部屋で寝そべりながら、先ほど近藤に渡された取扱説明書をパラパラとめくっていた。
内容はまったく頭に入ってこなかった。一応文字は読んでいたが、理解とは程遠い場所にいた。取り扱い説明書などを読まなければならないということが妙に馬鹿馬鹿しくて、何か情けなかった。
ふと、ある一文を見た。それを読み終えると沖田はそれを閉じて手に持ち、立ち上がって部屋を出ようと障子を開けた。足音が聞こえ、そのほうを見ると、近藤を先頭に万事屋の3人が歩いてきた。



「近藤さん、なんでそいつらを連れてるんですかィ?」

「おう、総悟。いや、こいつらのところに幕府の奴らが行ったみたいでな。それに、さっきトシに会ったらしい。理由を説明しようと思ってな」



沖田は黙って3人を見た。ため息をついて、それから取り扱い説明書を近藤に差し出した。



「これ、ありがとうございやした。大して参考になりませんでした。ただ・・・・」



沖田は何かを言おうとしたが、また3人を見て口を閉じた。



「どうした?」

「いえ。じゃあ失礼しやす」



そういうと沖田は4人の横を通って何処かへ行った。



「なんだ、それ」



先ほど沖田が近藤に渡した物に興味を示した銀時が聞いた。



「ん?あぁ・・・説明書だ」

「アンドロイドの?」



少し皮肉を含めた言い方をした。



「そうだ。読むか?・・・・というか、わかってるのか?」



遅れて驚きながら近藤が聞く。



「わかってるというか、大体の想像はつくだろ。俺たちが知りたいのは理由だ」

「理由か・・・・」



悲しそうな顔をして、止まっていた足をまた動かしだした。それに3人も付いていった。近藤はまたさっきと同じ部屋で、さっきと同じ説明をした。銀時は特に何も言わず、礼の言葉だけを言って帰って行った。



「なんというか、幕府らしい理由でしたね」



帰り道、新八が言った。



「国民の税金アル!」



神楽も続けた。



「まぁ・・・あいつらはどう思ってんだか知らねぇけど、これでいいのかねぇ・・・・」









「近藤さん、入っていいですかィ?」



近藤が部屋でくつろいでいると、障子の向こうから沖田の声が聞こえた。その声はどことなく暗く、また障子に映る影も、何かしら悲しげに見えた。



「おう、入って来い」



スーッと障子が開き、沖田が入ってきた。沖田は近藤の前に座った。



「なんだ?話か?」



人の良い性格がにじみ出ている笑顔を沖田に向けながら近藤が聞いた。



「読みやしか?」

「何をだ?」

「説明書でさァ」

「それなりに目は通したつもりだが、どうかしたか?」



沖田は下を向いていた。その顔を上げ、じっと近藤を見て言い放った。



「記憶は戻らないと書いてありやした」

「そうだな。俺も読んだ」



沖田は立ち上がり、近藤の胸倉を掴んで叫んだ。



「なら、なんでそんな風にしていられるんだ!あんな物体に意味なんてねェだろォ!!俺たちの過ごした時間は無意味だったのか!そこまでしてアンタにはあいつが必要なのかァ!」



近藤は顔色一つ変えなかった。そんな近藤をみて、沖田はなんだかまた、色んな気持ちに苛まれた。
スッと胸倉から手を離し、「すみません」と謝った。



「総悟。俺に言うのはいいが、みんなにはそういう感情を向けるな」

「アンタは大人で、俺はガキ・・・」

「総悟・・・・?」

「俺は俺で勝手にやりまさァ」



沖田は足早に部屋を出て行った。







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   僕らは鳥にはなれないけれど
   空を飛ぶ夢はみれるんだ。