04















次の日のこと。沖田は土方とパトロールをしていた。近藤に言われ、嫌々だった。
沖田は横で歩く物体をチラリチラリと何度も横目で見た。



「なんだ、沖田」



土方がそう言った。



「・・・別に」



沖田は少しばかり気持ち悪かった。自分を沖田と呼ぶ土方が。なんだか近くにいるのに遠くにいるようで、何を言っても伝わらない気がした。



「沖田、飯でも食うか」



断る理由がなく、ちょうどお腹の空いている沖田は承知した。
店に入り、悩みつつ注文をした。その後にぎこちない会話が少しあった。だが、2往復して沈黙に変わった。
注文の品が来ると黙ってそれを食べた。ふと沖田は土方を見た。土方はマヨネーズを一滴もかけずに食べていた。
今まではあのマヨネーズに奇妙さを感じたが、今はマヨネーズがかかっていないことが奇妙でならなかった。



「マヨネーズかけないんですかィ?」



試しに聞いてみた。



「は?マヨネーズ?なんでラーメンにかけるんだ。おかしいだろ」



正論が正論に聞こえなかった。逆におかしさを覚えたぐらいだった。
奇妙だった。おかしかった。現実に思えなかった。死んだ人間が目の前にいる。前とは違う様子で。



「沖田、万事屋に行かないか」



沖田は顔をあげて土方をみた。



「・・・なんでですかィ?」

「データが少ないから入れようと」



沖田はふと近藤の言葉を思い出した。
「トシはトシであってトシでない。人間関係とかはデータとして入っている。といっても、最低限のデータで、精々真選組のことぐらいだ。あまり、いらん知識を植えつけないように」



「なんで知ろうとするんですかィ?関係のない奴らでさァ」

「あぁ、そうかもしれない。だけど知っていて損はないだろう」



沖田は仕方なく土方を万事屋に連れて行くことにした。

扉を開けると、新八と神楽が不思議そうな驚いた顔で2人をみた。



「ぎ・・・銀さん!」

「あー・・んだよ。お客?今日は休業日―――



2人の姿を見ると、銀時は言葉をなくした。



「どうも」



とってつけたように沖田が言う。



「なんの用だ?そんなモン連れて」

「俺は新撰組副局長、土方十四郎だ」



銀時はクスクスと笑った。



「何がおかしい」

「いや、お前が誰か俺が知ってるか知らないかも知らないんだと思ったらおかしくてな」

「?」



わかっていない顔を銀時に向ける。それを見て沖田が言葉を放った。



「来たところで、なにもありやせんでしょ?早く帰りやしょう」

「お前らは万事屋らしいが、何をしてるんだ?」



沖田の言葉を無視して土方は銀時に問う。



「万事屋ですから、なぁんでもしますよ」



ふざけたように銀時は答える。



「人殺しもか?」



そう土方が聞いた瞬間、銀時の顔が変わった。



「何しにきたんだよ、お前」

「知りたいことが多いんだ」



それは突然だった。土方の喉もとにスッと刀が伸びてきたのだ。
土方はその先を見た。

沖田だった。



「沖田、何をしている」

「帰りやしょう」

「お前、誰に剣を向けているかわかっているのか?」

「帰りやしょう。ここにいる意味はないってわかりませんかィ?」



沖田は刀を下ろして鞘に収めた。



「旦那、迷惑かけました。それじゃあ失礼しやす」

「待て、沖田。話は終わってないだろうが」

「早く帰れ。お前に話すことなんてないんだよ」



銀時がそう言い、新八と神楽の手には塩があった。



「帰れアル!」

「そうだ!帰れ帰れ!」



なぜこうなっているのか分からないまま、土方は沖田を追った。



「あれか。俺とあいつらは仲が悪かったのか」



土方が沖田の横でそう言った。



「そうじゃなくて―――

「そうじゃなくて?」



沖田はふと、隣にいる土方を見た。



「なんでもないでさァ」



そうじゃなくての後に続けようと思った言葉はそっと押し殺した。

言おうと思った言葉。



「そうじゃなくて、アンタが土方さんじゃないからでさァ」







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   夢をみるたびに思い知らされるのは
   まだ夢から程遠い場所にいる自分。