05















その日は雷が鳴り響き、ヒドい雨が降っていた。
じめじめした空気が心地悪いのだろうか。万事屋の3人はグダッとしていた。
ずぶ濡れの男が万事屋に入ってきた。顔を帽子とサングラスとマスクで顔はわからない。



「どちら様?」



ぶっきらぼうに銀時が言うと、その人は銀時の座る机の前まで歩いて来て、鞘に入れた刀を差し出した。
銀時は黙って立ち上がり、それを受け取った。



「なんだ?」



刀を眺めながら銀時が聞く。



「その刀で新撰組副長、土方十四郎を討ってくれ」

「・・・誰だ?お前」

「名乗りはしない。願いを聞いてもらいに来た。ただそれだけだ。満足するような報酬は払う」

「後払いか?」

「先に置いていく」



そう言うとテーブルに金が入ったであろう袋を置いた。



「俺たちが土方をやらなかったら?」

「・・・・信じている」

「何を根拠に?万事屋だからってなんでもすると思われると困るんですけど」

「・・・そうか」



最後にそう言い、男は出て行った。



「・・・・銀さん、どうするんですか?これ、本当に結構なお金入ってますよ」



銀時は受け取った刀を色んな方向から見ていた。



「銀ちゃん、どうするアル?」



神楽が興味深そうに聞いた。



「・・・・きっかけがあればやる」

「きっかけ・・・ですか?」

「多分誰かがこさえてくれるだろうけど」



銀時は刀を見ながら少し微笑んだ。
新八と神楽はなんのことかわからなそうに、2人で顔を見合わした。



「どっちにしろ、俺もあんな気持ち悪い生き物は嫌だからな」

「た・・確かにそうかもしれませんけど、幕府にバレたら銀さんの身が危うくなるじゃないですか」

「・・・どうにかなるさ」



そういって銀時はニヤリと笑った。











その日は仕事をしていた。万事屋らしい仕事。つまりは迷子の犬探しとか、そういう類のことで、実際に迷子の犬探しだった。




「あー・・・みつかんねぇな。てか2週間して帰ってこねぇなら飼い主嫌われてんだろ。大体犬ってのは、忠誠心があるもんだろ。ないってことはなめられてんだよ。あっちのしつけが悪いんだよ」

「銀さん、とやかく言ってないで探しま――――



銀時の方を見ながら喋っていた新八の声が、銀時の後ろの方で見えた爆発の音に紛れて途中で消えた。
銀時も振り返った。炎が上がっている。そしてその爆発の方から逃げてくる人たちが何人も棒立ちになったままの3人の横を通りすぎていった。



「何してんだい!早く逃げな!殺されちまうよ」



横を通り過ぎていく人が3人に声をかけた。



「何があったんです?」

「テロリストの魔詐過(まさか)があそこのビル一体を占拠した。もう何人も殺された。早く逃げねぇと!!」

「あのテロリストがですか!?銀さん、早く逃げ――――



新八は驚いた。銀時が微かに笑っていたのだ。



「銀ちゃん、何笑ってるアル!!早く逃げないと!!」

「お前らは逃げろ」

「な・・・何言ってるんですか、銀さん!」

「仕事だ」

「し・・・仕事って、なんの仕事ですか!!」

「きっかけだ」



そう言うと銀時は2人に微笑をこぼして、人が走ってくる方に走って行った。



「銀さん!」

「銀ちゃん!」



しばらくして、銀時の姿は見えなくなった。
ただ人の混乱する様と、銃声やバズーカの音、爆発音、人の泣き叫ぶ声、救急車やパトカーの音がただただ響いていた。



「あ・・・」



ふと新八は足を止めた。



「どうしたアル?」

「仕事って・・・土方さんを討つってやつじゃ・・・」

「そんな依頼あったアルね」

「銀さん・・・・何を考えてるんだろう・・・・」

「何がアルか?」

「だってもしかしたら土方さんを討ってくれって頼んできたのは魔詐過のメンバーかもしれないだろ?てことは、銀さんもテロリストの仲間入りに・・・」

「新八、考えすぎアルよ。例えそうだとしても、銀ちゃんは銀ちゃんアル」

「・・・・そう・・だね」



2人の会話の聞こえない場所に銀時はいた。
周りには黒い服を着た男たちがいた。







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   君がいるから、君にいて欲しいから
   僕らは強くなれるのかもしれない。