時間は進んで昼となった。



「かぐ―――





人が人を呼ぶのを遮ってくるのはやはりあやつ、銀時・・・。



「な・・・なに?」

「何って、メシ食おうぜ」

「あ・・・ああ・・・あうい」

「は?」



なんか私びっくりするぐらい気づいてなかったけど、なんで銀時とご飯食べてんの?いつも2人でわきゃわきゃ食べてたけどさ、うん・・・。入学以来ずっと・・・。



「食わねーのか?あ、忘れたのか?なんか買いに行くか?ついでにいちご牛乳買うし」

「いや、あります。間に合ってます」



本当になんだろ。言いようが無さ過ぎる。けど今まで別に気にしたことがなかったってことは、私はなんとも思ってないんだろうな。ただ普通に楽しいと思ってるからなんだろうな。



「・・・・い・・・おい!!」

「え?」

「なにボーっとしてんだよ」

「ああ・・・そうだった?」

「悩みならこの銀さんが聞いてやるぞ」

「今向かい合ってる人がウザいです」

「あーあ、銀さん傷ついちゃったよ」

「あーそうですか。ご飯ぐらい静かに食べなさいよ」



それからなんとなく会話は途切れ途切れに点々と交わされるだけだった。正しく言うならば、銀時がネタを振ってもすぐに私が流した。



「んだよ、ノリ悪いな」

「ちょっと失礼」

「どこ行くんだ?」

「トイレです!!なんでいちいち言わなきゃいけないのよ!!レディーに言わすんじゃないわよ」



私はツカツカとトイレに向かった。その途中でボーっと窓を開けて外を眺めてる人がいた。



「オキタン、なにやってんの?」

「今度そのあだ名で呼んだらどうしてくれよォ」

「カワイイじゃない。細かい男だねぇ・・・」



私はなんとなくオキタンの隣に並んで窓の外を見た。



「なんか見てたの?」

「別に」



まだ暑い日差しに風が気持ちよく吹いた。まだ残る夏が懐かしくもあって、少し鬱陶しい。



「私さ・・・坂田に告白されたんだ」



なんとなく。なんとなく私はオキタンに言った。



「へぇ・・・」

「驚かないの?」

「・・・大して」

「なんで?私はさ、それはもう驚いたのよ?わかる?貞子が便器から出てくるような驚きよ!!」

「伝わりにくい驚きでィ」



私はまた窓の外をまた眺めた。オキタンは別に何も言わなかった。



「なにしてんだ?」



私もオキタンも振り返った。そこには銀時がいた。



「ああ、銀時。どうしたの?」

「いや、トイレの割に遅いと思ったから」



銀時は何を心配して私を探しにきたのか、私にはわからなかった。



「ちょっとオキタンと話し込んでただけ」



チラリと銀時がオキタンを見たのに私は気づいた。



「じゃあちょいとばかしトイレに。トイレトイレって、私の淑女が消えていくわ」

「さっさと行けよ」



私はそそくさとトイレに行った。
鏡の前で一生懸命髪型を整えてる奴に、なぜだか「ごめん」を言って手を洗う。
それから教室に帰った。
私はさっきまでご飯を食べていた銀時の机のほうには行かず、自分の席に座った。
前の席のイスがガタガタと鳴った。



「お前ってさ、沖田と仲良かったっけ?」

「別に。前のテストで欠点まみれで特別補習を受けた仲。私とオキタンだけだったから」

「ふーん・・・」



銀時は今、どんな気持ちなんだろう。昨日のことについて私が何も言わないのをどう思ってるんだろう。私は何も言わないままでいいのかな。だけど言うとしても、言葉が見つからない。



「なぁ」



銀時が何か言おうとした時に、ちょうどチャイムが鳴った。銀時は席に戻っていった。少しホッとする自分がいた。
淡々と時間は過ぎて行った。放課後がやってきて、げた箱の掃除当番の私は砂ぼこりにまみれながら掃除をしていた。



「あ」



その声が聞こえて私はビクリとした。



「なんだ、掃除当番か。もう帰ったと思ってた」

「あぁ・・・なんか用事?」



銀時はしばらく考えて、じっと私を見た。



「なんでもねぇや。じゃあな、掃除頑張れよ」



そう言って銀時は私の頭に手を置いて、髪をわしゃわしゃとした。
な・・・なんだろう。薄ら半ば殺意に似たモノが私を満たし始める。私は頭を激しく掻いた。



「なんでィ。頭洗ってなくて痒いんですかィ?」

「違うわ!!人を不潔扱いすんじゃねぇ!!」

「ねぇ、あなたって坂田くんと付き合ってるの?」

「うるせー!!テメェの脳みそ床にぶちまけるぞぉい!!付き合っとらんわい!!なんべん言わすんじゃあ!!」



私は固まった。聞いてきたのはまたオキタンだと思っていた。だからあんな言い方をしたのに・・・。



「おお怖い怖い。はおっかねぇでさァ」

「付き合ってないのね?」

「あ・・・あぁ、はい。いや、すみません。また沖田のクソ野郎が聞いてきたのかと思いまして・・・。もう本当に申し訳なすびです。あの、ちなみにどちら様ですか?」

「隣のクラスの猿飛です」



へぇ・・・猿飛さん。なんか美人だね。



と申します。以後お見知りおきを」

「あなた坂田くんと仲良いみたいだから気になってたの。じゃあサヨナラ」



猿飛さんは去っていった。なんだろう。なんで付き合ってるとか聞いてきたんだろう。ああ!もしかして銀時が好きなのか。へぇ・・・。



「誰がクソ野郎だってェ?」



事後処理が実に面倒くさいことよ。



「いや、あの、ノリみたいなモンよ。ね?・・・はい、ごめんなさい」



「あの猿飛って坂田のこと好きなんですかねェ?」

「さぁ?そうなんじゃない?」

「・・・なんとも思わないんですかィ?」

「なにを思えというのよ」

「・・・なんだか坂田が可哀相でェ」



私にはオキタンの言う意味がよくわからなかった。なんで坂田が可哀相なんだろう。
それをオキタンに聞いたら「アンタは子供過ぎる」と言われた。

世の中わからないことが多すぎる。







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   この物語の主人公を書く上でのモットーは
   『アホだけど憎めない奴』です。
   そうなってるのか心配だ・・・。