「銀時、受かったのか?」

「まぁな。俺にしたらチョロいチョロい」



高校合格発表。無理だと思われていた公立に見事受かった。
合格して喜んでいたのもつかの間で、高校生活は思っていたより良いモノではなかった。気がつけばクラスメイトが2人ほどいなくなっていた。



「桂ぁ、俺辞めよっかな」



昼下がりの校外で俺は愚痴をこぼした。



「勝手にしろ」

「ひっでぇ奴。もうちょっとこう優しい言葉とかねぇのか」

「辞めたきゃやめろ。俺の人生に支障はないからな」

「・・・・そうだよな。関係ねぇな」



周りの人間は誰もが誰かをみようとはしていなかった。自分を妙に大切にして生きていた。他人のことなどどうでも良かった。



「ギャッーーー!!!」



誰かの叫び声が聞こえた。俺と桂は顔を見合わせて、そして同時に声のほうに駆けていった。



「死ぬぅぅぅぅ」



唖然とした。女が木にぶら下がっていた。どうしたらいいのかわからずに突っ立っている俺をよそに、桂はその女に言った。



「飛び降りろ。受け止めるから」

「あっ・・・えと・・・・体重ヤバいから」

「大丈夫だ。ずっとそのままでいたくないだろ?」

「あ・・・えっと・・・その・・・・骨とか折れたら治療費払うね」

「そりゃどうも」

「いっ・・・・いくよ。ほいっ!!」



なんで掛け声が「ほい」なんだ。
そう思いながら見ていた。見事に桂はキャッチしてみせた。



「あ、ありがとう。大丈夫?」

「あぁ、大丈夫。そっちこそ」

「平気平気。あたしっていうの。3組」



学年を言わなかったのは、多分校章の色を見たからだろう。



「桂。1組」

「桂くんか。ありがとう」



と名乗った女は笑顔で桂に「ありがとう」と言った。何故か俺はその笑顔が妙に目に張り付いた。



「そっちは?」



俺に向けられた言葉だった。



「あ?」



突然に戸惑い、そんな言葉を返した。



「坂田銀時。俺と同じ1組」



桂が俺に変わって答えた。



「銀時?カッコいい名前だね。中学一緒?」

「いや、もうずっと。腐れ縁」



二人は仲良くなったらしい。ベラベラとしゃべっていた。俺はそれを耳に入れているだけだった。
俺は人見知りで口下手だから、初対面でそうベラベラとは喋れない。



「坂田くん?」

「!!」



突然名前を呼ばれ、俺は自分でも驚くほど驚いた。



「どうしたの?ボーッとして」

「別に・・・。俺、教室戻るわ」



そう言って俺は二人から離れた。居心地が妙に悪かったからだ。二人の世界を満喫してればいいさ。邪魔モノは消える。



「一緒に行ってもいい?」

「!!」



知らない間に横にあの女がいた。また突然に戸惑い、何も答えられなかった。



「一人になりたい気分だった?ごめん、邪魔して」



そう言って女は小走りをした。



「かっ・・・・桂は?」



俺は立ち止まり、言った。何かを言わないといけない気がした。
女は小走りを止め、俺のほうを振り向いて言う。



「職員室に寄るって」

「あぁ、そうか・・・」



他に何か言わないといけない気がする。だけど、思いつかない。
そんな俺には笑って言った。



「一緒に行ってもいい?」

「・・・勝手にしろ」



歩き出した俺が自分の横にくると、は歩き出した。

何もしゃべらず、ただ歩いていた。なぜかそれで良かった。

夏休みが終わっても暑い空の下。セミの合唱がどこよりもヒドイ田舎。


物語は始まった。






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   ヘタレ銀さんでお送りする予定です。
   ヘタレ書くのが好きです。