最初は単なる偶然だった。ボロッちい電車での通学。帰りの電車。見覚えのある姿に桂が声を掛けた。



さん?」



振り返る。間違いなく



「あ、桂くんに坂田くん。電車だったんだ」

「知らなかった。さんもなんて」

「電車通学そんなに多くないのに、全然会わなかったね」

「駅どこ?」

「えっと・・・次の次」

「あれ、一緒だ。・・・・だけどそうだったら中学一緒のはず・・・?」

「引越してきたの。て言っても近所なんだけど。畑大きくしたいって言って」



桂とはよくしゃべっていた。俺は何を話したらいいのかわからなくて、相づちをうつだけだった。



「坂田くんは?」

「は?何が?」

「話し聞いとけよ」



桂が笑って言う。



「あぁ、ごめん。てか・・・坂田くんは・・・・やめろ・・・て・・」



は不思議そうな顔を俺に向けた。



「あぁ・・・だから・・・・その・・・あんま似合わねぇし、言われ慣れてない・・・から・・・・」



言葉が足りない。だけど俺の精一杯。



「じゃあなんて呼んだらいい?」

「ぎ・・・銀時?」



先を考えていなかった。銀時って・・・・・なぁ・・・。



「銀時?じゃああたしはでいいよ。桂くんは?」

「こ・・・小太郎・・・」

「そういや、お前の名前小太郎だったな。嫌がって誰にも呼ばせねぇよな」



俺は小学生の時に桂が嫌がっていたのを思い出し、笑いながら言った。



「うるさい」



少し顔を赤くしながら桂が俺に言う。



「じゃあ桂くんのほうがいいね」

「別に・・・・小太郎でいい」



照れたように言う桂がおかしくて、俺はクスクスと笑っていた。



「坂田く・・・・銀時、笑い過ぎだよ」



が笑いながら俺に言った。妙に「銀時」と呼ばれるのがくすぐったかった。
電車が駅につき、俺たちは仲良く降りた。



「じゃああたしこっちだから。また明日。バイバイ」

「また・・・また、気が向いたら・・・一緒に帰ろう」



桂から思いもよらない言葉が飛び出した。



「うん」



笑っては答えた。手を振っては帰って行った。



「・・・・猿っぽいな」



俺はそんな言葉を口に出した。



「何が?」

「いや・・・

「木にぶら下がってたからか?」

「・・・風貌」

「・・・・帰ろう」



なぜ桂が何も言わないのかわからなかった。俺は桂も笑って「そうかもしれないな」と言うと思っていた。
の髪は短くて、身長は155ぐらいにみえた。それに木にぶら下がっていた。本当に猿っぽくて、俺はただそれを口にしただけだった。





次の日、朝からに会った。俺と桂は家が近所だから適当な場所で待ち合わせをして、学校まで一緒に行っていた。



「あ、おはよ。この時間のに乗ってたんだ。だから会わなかったのか」



は一人でベラベラしゃべってみせた。



「一本早いのに乗ってた?」



桂が言う。



「うん」



桂とは仲良くまたしゃべっていた。俺はそれを横目で見ながら、特に何も言わなかった。


何度かの偶然から、いつの間にか一緒に行くことと帰ることが当たり前になっていた。よく二人はしゃべっていて、なんとなく俺は浮いている気がした。







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   電車通学してみたいです。
   今のところ全て徒歩・・・。