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知らない間に秋がきて、冬が過ぎ去って春がきた。俺たち三人は同じクラスになった。 人見知りで口下手な俺も、とは普通に話せるようになっていた。 「みんな同じクラスだね」 嬉しそうには笑った。帰りの電車。俺たち以外誰もいなかった。 「小太郎は進学?」 が話題を出した。 「いや、就職」 「へぇ、偉いね」 「偉いって言うより、うちは農業だから大学に行く金無いから」 「そっか。銀時は?」 「え・・・と・・・・」 俺は将来のことなどまるで考えていなかった。大学に行くかも、就職をするかも考えていなかった。ただ過ぎ去っていく時間の流れに身を任せていた。 「銀時、ちゃんと考えろよ。後で大学行きたいって言っても金あるかわからないだろ?」 「大学には行かねぇよ。そんな脳みそじゃねぇから」 「じゃあ就職?」 「あ・・・・うん・・・・」 就職をする気も無かった。まだまだ色々とやってみたいし、社会に出るなんか嫌だった。二十歳ぐらいまでは呑気に暮らしたいと思っていた。 「は?」 桂が聞く。 「進学。伯母さんが東京にいるから、そこで暮らす予定」 思わぬ言葉が耳に入ってきた。 「卒業したらここ、離れるのか・・・」 なんとなく寂しそうな桂の声。 「うん。こっから通える大学なんて無いからね。小太郎も銀時も就職するならどっか行くことになるね」 「そうだな・・・」 桂の声はまだ寂しそうだった。俺は別に悲しいとも寂しいとも思わなかった。ただこの空間が、場所が無くなることを思うと、何か心につっかかった。 「じゃあね、また明日」 が去った後、すぐに桂が言ってきた。 「お前、本当にどうするんだ?就職する気も無いだろ」 「あぁ、わかった?」 笑って俺が言うと、大きなため息を一つ、桂がつく。 「わかったじゃなくて、本当にどうするんだ」 「家は・・・出てく」 「・・・・上手くいってないのか?」 「まぁな。ハハ・・・」 高校に入ってから親とは上手くいっていなかった。親父は俺に農業を継がせたいらしい。だけど俺はそんな気はさらさらなく、それを親父に伝えたら親父は俺に怒鳴った。「なんの取り柄もないお前みたいな奴が偉そうなことを言うな。甘えるな」他にも色々言われたけど、いまいち覚えていない。怒りで忘れた。親父をぶん殴って、殴り返された。ケンカが終わった後にひっそりと母が言った。「もうアンタなんか知らない。勝手にすればいい・・・・」泣く母を前にかける言葉も見当たらず、この家にいることの苦痛をひしひしと感じた。 「なるようになるだろ。大丈夫だって」 「俺ん家来てもいいぞ」 「いいや。あと少しだからよ。最後に親孝行っぽいこと一応しないといけないからな。一回出たら・・・もう・・・・・もう戻らないつもりだから」 「・・・そうか」 桂はこんな俺をどう思っていたのだろうか。それは俺にはよくわからないし、考えもつかない。ただ見捨てないでくれていることが、ありがたかった。 俺は多分、色んなところで桂に助けられていた。 ------------------------------------ 一人じゃ誰も生きられない。 |