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俺は桂に自分も好きだということを伝えられずにいた。伝えようとしても、ノドで言葉が止まった。どうしても口には出てこなかった。自分の中でに対する気持ちがよりハッキリとしてきていた。それだけがよくわかった。 何度か俺はに告白をしようかと思った。だけどそんなことはしなかったし、出来なかった。まるで俺は夏目漱石の「こころ」の私とKの話の中で、「私」の心情によく似ている気がした。 じゃあ俺はお嬢さんに告白して、そしたらKは死ぬのか?K・・・桂。あぁぴったりだ。そうじゃない。そうじゃないだろ。 俺が動いたら何かが壊れてしまうような気がする。 気が付けばもう明日から夏休みだった。広い空は青くて、白い入道雲が綺麗だった。 「明日から夏休みだね」 嬉しそうにが言った。 「ねぇ、夏休みどっか行こうよ」 「え?」 桂が聞き返す。 「三人でさ、花火大会とか祭りとか」 「ここら辺じゃ大したのねぇよな、桂」 「そうだな。ちょっと遠出しないと」 「それでも行こうよ。遠出なんて楽しいじゃん」 桂が「うん」と言うのはわかっていた。そしてまた、俺も断る理由などなかった。 「何処に行こうか」 桂が嬉しそうに悩んでいた。 「あぁ、あそこがいいんじゃね?シルバーランド」 一度だけ遠い昔に行った場所を思い出し、それを口に出した。 「いいね。花火大会でも祭りでも無いけど」 「なんだよ。嫌なら他のところでいい」 「そういう意味じゃなくて・・・」 「まぁそんなこと気にせず行こう。いつにする?7月か8月」 誰もいない電車の中。まだ太陽が天辺にくる前。夏の香りをかぎながら、これからやってくる夏休みの計画をたてるのは楽しかった。 電車の中には俺たちの声だけが響く。窓を閉めていても蝉の鳴き声は聞こえてきた。 夏。暑い季節。 この夏から色んなことが変わった。だから俺は夏が嫌いになった。いつもこの時の夏を思い出すから。 この夏が無ければ良かった。 俺は何度そう思っただろうか。そして、思うのだろうか。 ------------------------------------ 展開が訪れる予感です。 ここに何書けばいいかわからない。 |