あの日から始業式まで俺は桂にもにも会わなかったし、連絡もしなかった。何度か桂から電話があったが、無視をした。
俺はどうしようもなく餓鬼だった。

始業式の朝、気分が悪かった。その原因は嫌でもわかっていた。



「久しぶりだな」



笑って言う桂。憎いけれど憎めない。それは俺が桂に何度も助けられているから。



「元気そうだな。と上手くいってんのか?」



俺は何度も自分で自分を傷つける。馬鹿みたいに繰り返す。



「言ったっけ?」



不思議そうな顔を俺に向ける。



「わかるって」



作り笑いを浮かべて俺は言った。
照れたように笑う桂。横っ面を殴ってやりたかった。



「上手くいってる。ありがとう」



なんの「ありがとう」なのかわからなかった。俺はまた作り笑いをした。



「おはよう。銀時、久しぶりだね」

「あぁ・・・」



桂とは会ってたのか。

電車に揺られている俺の身体はなんだか力が入っていないかのように、グラグラと揺れていた。いや、身体は揺れていなかった。心がなんだかグラグラと揺らいでいた。横で楽しそうに話す二人を見ているからだろうか。
俺にはわからない。蝉の声だけが聞こえることしか。


次の日から普通に授業が始まった。そして早々から体育だった。
授業の最初に走るのが決まりだった。そして俺はがむしゃらに走った。なんだかその間は何も考えずに済んだ。俺は行き場の無い感情をどうにかしようと必死だった。



「銀時。無理して走ったんじゃないのか」



俺より遅くに走り終わった桂が心配そうに俺に言った。



「・・・せー」

「・・・?大丈夫か?」

「うるせーっつってんだよ!!ほっといてくれ!!!」



周りが俺をみた。俺はデカイ声を出していた。



「銀―――

「コラっ。何してるんだ」



体育教師が桂の言葉を遮った。



「なんでも無いです。ちょっと無理して走ったんで休憩していいですか」

「あ、あぁ。大丈夫か」

「はい」



俺は木陰へ足を向けた。



「だいじょ―――



の横を通った時、が何か俺に言葉を向けた。けれど俺は気付かないフリをした。

何も聞きたく無かった。


俺はどうしようもなく餓鬼で、ただ好きな人が他の誰かと付き合っただけで、自分が壊れていった。
逆に言えば、それほど俺のに対する思いはデカイということ。強いということ。
知らない間にそんなことになっていた。
そしてそのことは、俺以外、誰も知らない。






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   銀時さんが変わりはじめます。
   予想外に長くなっている・・・。