第二章の始まり







なんだかんだで第一志望の大学に受かって、高校を卒業して、一人暮らしを始めた。大学生になったらなったらバイトをしようと決めていて、最近雇用が決まった。
これから人生の第二章の始まりなんだと、勝手に決めた。



ちゃん、5番テーブル片付けてきてもらえる?」

「はい」



仲の良い夫婦が経営者の小さな洋食屋のアルバイト。時給はさほど良くはないけれど、雰囲気の良い店と雰囲気の良い人ばかりだから、なんら文句はない。



ちゃんは彼氏とかいないの?」



土曜日、店が終わりお茶でもしましょと奥さんが言い、くつろいでいた時だった。



「今はいません。これでも高校時代は3年間ずっと同じ人と付き合ってたんです。だけど彼、地方の大学に行くって言って、遠距離恋愛は出来ないから別れようって・・・言われたんです」

「あら、そうなの。遠距離恋愛も素敵だと思うけどねぇ」

「・・・きっかけだったと思うんです」

「きっかけ?」

「はい。彼はずっと私と別れたいと思ってたんだと思います。そのきっかけだっただけで、運命は決まってたんだと思うんです。どんな形であれ、遅かれ早かれ」



彼がなんとなく私に冷たくなってきたのを感じとってはいた。だけど私は彼が好きで別れたくなかった。
別れを告げられた時にあぁそんなもんかと簡単に納得したものの、涙がしばらく止まらなかった。
意外とピュアな自分が少しばかり笑えた。


「またいい恋愛しなさいね」

「ありがとうございます。頑張ります」



頑張る気などさらさら無かった。しばらく恋などしたくない。誰かを好きになることも、誰かに好かれることも、なんだか煩わしくて邪魔くさい。だからしばらく私は独りで構わない。

鍵を開けて玄関の扉を開いても、誰もおかえりとは言ってくれないことにも、部屋が真っ暗なことにも少しばかり慣れた。最初は黒の静寂が妙に怖く感じていた。
部屋の電気をつける。明るく部屋を照らし出す。部屋の隅に追いやられたクッキーの缶。その中に入っているのは、消し去ってしまいたい誰かとの思い出だなんていうクサいモノ。
そんなことを言いながら、捨てられないのは・・・なぜだろう。
静かな部屋にテレビの音が響く。なんだか耳障りで仕方がない。
今日は疲れた。嫌なことを思い出したからだ。もう寝よう。
明日が明日であるのは私が眠ってしまう前までの話。私が眠ってしまえば、明日は今日に変わるんだ。
明日が良い日になることを祈ろう。人生の第二章はいいものになるようにしよう。
そして私は眠りについた。

また迎えよう。明日という名の今日を。
またサヨナラをしよう。今日という名の昨日に。







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   頑張っていきます!!