君の信頼を葬る。だから君は、俺を葬って。
































過去から現在に繋ぐ物語 〜総悟目線〜
silent love
















中学生の頃、好きな人がいた。だけどその人には好きな人がいた。叶わないことを叶える努力は無駄だと思ったから、何もしなかった。そのくせ、卒業して高校が別になるまで好きだった。
高校入学当初は同じ中学の奴らとばっかり話していて、俺の世界は大して変わらなかった。
彼女に会うまでは。



「ちょっと沖田くん。ガラス割ったの沖田くんでしょ?ちゃんと先生に言ってよ。私、関係ないのに先生にとやかく言われたんだから」



昼下がり、昼休み。気に入った窓際の席。そこに座ってボーっとしていたら、よく知らない女が俺にそう言ってきた。いや、知ってる。『ガッキュウイイン』とかいう奴。



「あんた学級委員なんでィ?クラスメイトのために、それぐらいいいじゃねェですかィ」

「ふっざけんな。あたしはやりたくてやってんじゃないわよ」



女とは、得てして大人しいものばかりだと思っていた。だからそんな風に言ってくる女が珍しかった。うっとしかった。煩わしかった。
そして女は去っていった。
確かにガラスを割ったのは俺だった。いや、わざとじゃないんだからさ。なんかひょいと当たって、したら割れたんだ。俺だって別に悪くはない・・・。うん・・・・。


仕方無く先生のところに行った。ごちゃごちゃ言われたけど、まるで聞いちゃいなかった。目を奪われていた。窓の外で、花の咲いた花壇に水をやるあの女に。



「ちゃんとに謝っとけ」



教師の最後の言葉を聞いたのは、アイツの名前が入っていたからだ。

それからしばらくアイツと話すことは無かった。俺は謝ることもしなかった。
ある日のことだった。いつか誰かが水をやっていた花壇が荒らされていた。また窓からそれを見ていると、アイツがやってきた。彼女は散らばった花を集め出した。
嗚呼、やっぱり女はそういう生き物なんだ。あんな風に強い言葉を言ったって、あんなにしとやかに見える。強がりか・・・。あいつは。そうか・・・。

時に行動は考えを超える。俺は窓を開けて飛び出して、アイツのいる花壇の反対側に立った。



「・・・・・」

「・・・・何?突然窓なんかから飛び出して来ちゃって。カッコいいとでも思ってるの?」



少し寂しそうに、だけど強気に答える。



「また咲きまさァ」

「同じ花でも同じ花は二度と咲かない。私は嫌われ者だから、嫌がらせかな」



悲しい笑いを、彼女はこぼした。
愛しいと思った。抱きしめたいと思った。口が勝手に動いた。



「俺は嫌いじゃない」



キョトンとした顔が向けられる。



「付き合いやしょう」



核心を口に出す。



「なんで?」

「好きだから」

「絶対ウソでしょ」

「好きになるから」



ふっと彼女は笑った。初めて笑顔をみた。



「変なの」



そう言って彼女は笑った。俺も知らぬ間に笑っていた。



「私と付き合ってもいいことないよ。きっと沖田くんは私を好きにならない」

「俺は言ったことは守りまさァ」

「私が沖田くんを好きにならなかったら?」

「なりまさァ。夢中にさしてやる」



そんな会話がきっかけだった。生まれて初めての告白がそれで、生まれて初めての彼女がだった。

好きになるのに時間はかからなかった。は自然体な人間で、それでいて不思議な空気を持っていて、人を惹きつける人間だった。



好きだった。夢中だった。君が笑えば幸せだなんて、そんなことを平気で思った。
はどう思っていたのかわからなかった。だけど笑ってくれるから、俺と同じ気持ちなんだと理解した。



あの頃の日々は、輝いていた。






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   これはどれぐらいの長さになるのか。
   だけどそろそろ終焉のような気も…。