サヨナラとまたコンニチハ





サヨナラとまたコンニチハ









土方くんは黙ったままだった。



「ごめんなさい」

「うん、だから謝んなくていいって」



申し訳なくて、だけど何も言えなくて、自分が嫌になる。



「俺帰ったほうがいいか?」

「え?」

「いや、なんか空気読めてねぇかなって」



優しい。優しいからツラくなる。



「あの・・・あのね・・・今日総悟・・・に会った・・・の」



土方くんの顔が変わった。確実に動揺している。



「そう・・・か・・・」

「やり直そうって言われたの」



なんで私はこんなにも簡単に土方くんに話してるんだろう。



「お前は・・・なんて答えたんだ?」

「か・・・考えさせてって」

「・・・俺、帰るわ」



土方くんは立ち上がった。思わず私は土方くんの服を掴んだ。



「なんだよ」

「あの・・・えと・・・」

「もう二度と来ないから」

「え?」

「お前のことももう諦めるし」

「土方くん?」

「考えさせてって・・・もうそんなん向こうに行くに決まってんじゃねぇかよ。お前 は総悟を忘れるんじゃなかったのかよ。どっかで結局そうなるの望んでたんだろ
?」

「違う!!」

「なにが違うんだよ!!」



見たこと無い土方くんの顔。
ああ、もうダメだ。私って本当にバカだな。それでいてしょーもない。



「じゃあな」

「うん・・・バイバイ」



「またな」と土方くんは言わない。
私はわざわざ玄関まで見送らない。



サヨナラ。
ありがとう。


そんな言葉さえ無い。心で思うだけで終わった。




土方くんのいなくなった部屋で私は色々考えた。

これから私はどうするのか。
誰よ。恋なんてもういいなんて言っといて、存分にハマってんじゃない。

傷つけたのかな。
傷つけたよね。

なんで土方くんはこんな私を好きになってくれたのかな。

こんな女・・・最低なのに。
ちゃんとみてくれていた。



次の日、私は総悟と会う約束をした。
あの河川敷。



「久しぶりィ」

「昨日会ったじゃない」

「ああ・・・そうでした」



総悟も色々考えたのかな。



「昨日の返事ですかィ?」

「うん」

「どうぞ、話してくだせィ」



私は深呼吸をして、一瞬空を見上げてから話した。



「私、思ったの。私たちはさ、ちゃんと色んな理由がハッキリしないまま別れたから・・・だから互いに互いを引きずってるんじゃないかって。もしやり直してもあの頃には戻れないし、戻っても仕方ないと思うの。だから…だからね、私たちちゃんとサヨナラしよう。ちゃんと全部理由はわかったから」



総悟は私をじっとみていた。
色素の薄い髪が風に揺れるのを私はみていた。



「俺もそう思いまさァ。俺はずっと後悔してて、だからお前にちゃんと会って話そうと思った。それだけだったんでィ。やり直すなんて、本当はどうでもよかった気がする。言った後にわかった。本当のことをちゃんと話したかったんだって」

「うん。じゃあ・・・サヨナラだね」

「ああ」

「私総悟に会えて、付き合って幸せだったよ。ずっとずっとこれからも大切な思い出」

「ありがとう」



私はスッと右手を差し出した。



「なんでィ?」

「握手。これからは友達としてよろしくって意味で」



総悟はニコリと笑い、私の手を握った。



「よろしく」



総悟は笑ってそう言った。







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