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それから何日が経っただろうか。よく、わからなかった。 別れようと言ったのは俺なのに、引きずるのはおかしい。だけど考えてしまう。 これで本当に良かったのか。あいつがいなくて、俺は・・・俺は・・・・少し・・辛い・・・? 「志波、ちょっと来い」 「はい?」 水嶋先輩の声はいつもと違って、少し怖さがあった。 「お前、もっと練習に集中しろ。ずっとボーッとしてんじゃねぇか。ミスもして。 ロードワークしてこい。今日はもうボールに触るな」 「はい・・・・」 走っていたら、色々考えた。プロになるのに、あいつがいたらダメだと思った。 だから別れた。なのにあいつがいなくなったらこの様だ。もう、わからない。何が正しくて、何が間違っているのか。 高校の卒業式のあと、灯台で俺はなんて言った?あれはウソになるのか?なら、あの時の気持ちもウソになるのか? ウソなんて一つとしてない。あの時の俺には。あるならば、今の俺。なら、そのウソはなんだ? ロードワークを終えて、その後は筋トレをした。ボールに触れられないことが、とても苦痛だった。 「お疲れ。ほら、飲めよ」 練習が終わって、水道で顔を洗っていると、水嶋先輩がジュースを片手に俺に言った。 「・・・・ありがとうございます」 「・・・どうした?なんか悩んでんのか?」 「え?」 「お前らしくなかったからさ。練習中にボーッとするなんて」 「・・・・」 「あ、そうだ。お前にさ、聞きたいことがあったんだ」 「・・・なんですか?」 「なんで高校からプロに行かなかったんだ?甲士園で優勝した高校の4番だったのに。いけたはずだろ?」 「・・・それは・・」 なんでだったかな。プロにはならないと、なりたいけどならないと、大学に行こうと思ったのは―――。 「・・・あいつと離れるのが嫌だったからです。プロになったら気持ちも伝えられなかっただろうし、 伝えなかったら後悔をすると思ったんです・・・」 先輩はクスクスと笑い出した。 「なんていうか・・・意外で笑える。すごい好きなんだな。大切にしろよ。 支えてくれる人がいなきゃ、自分が壊れる。一人じゃなんにも出来ないからな」 「・・・・」 「おし、帰るか」 何をどう伝えればいいのかわからないけど、何か俺は先輩からもらった。 「・・・先輩」 「ん?」 「・・・先輩もなんでプロにいかなかったんですか?俺、テレビで見ました。 先輩はすごく、注目されていた選手だった」 「・・・そこだけが俺の目標じゃない。夢を追いすぎて、大切なモノを失いたくなかった。 何かを得ようとすれば、必ず犠牲は出る。俺は自分を犠牲にしたんだ」 「・・・先輩が、そこまでして守った大切なモノは・・・・なんですか?」 「・・・・教えない」 先輩は笑ってそう言うと、歩き出した。俺はそれをただ見ていた。 俺が俺の夢を犠牲にして守ったあいつ。それをまた犠牲にして、俺の手の中に何が残る? かっこつけて、強がって、俺は大切なモノが見えなくなってた。大切なモノは何か。 プロになっても意味がない。あいつが見ていてくれないと。横で笑っていてくれないと。 行こう。大切なモノのところへ――― |