日曜日、2週間ぶりにに会えることになった。

最近は俺が試合前で忙しくて、ナカナカ会えなかった。

大学も離れていて、ばったり会うなんてこともない。

夜のたった10分ほどの電話だけで、俺たちは繋がっていた。


「どうした、志波。嬉しそうだな」


部活中、キャプテンの水嶋先輩が話しかけて来た。


「・・・・なんでもないです」


「ハハ。誤魔化すの下手だな。彼女のことじゃないのか?」



「あ・・・・いえ・・・」


 顔が熱くなってきた。


「ハハ、カワイイ奴だな。そうだ。日曜のこと聞いたか?」



「え?いえ・・・なにも」


「日曜な、練習試合が入ったんだ。
強豪チームと出来ることになった。だから気合い入れて練習しろよ」


「・・・・はい」


日曜日・・・?日曜日って、やっぱり・・・日曜日・・・だよな。

・・・・謝らないといけないな。


「次ー、志波ぁー!!」


「よろしくお願いします」


今は練習に集中しよう。プロになるんだ。練習を怠っていたらダメだ。プロになれない。




練習が終わり、家に帰った。すぐに俺は電話をした。


「ああ、俺」


「志波クン?今日は電話早いね。なにかあったの?」


「ああ・・・」


言わなきゃいけない、ことがあるのに、言いづらい。


「・・・・」


「・・・どうしたの?」


「日曜・・・なんだけど」


「ちゃんと覚えてるよ。10時に公園入口だよね?」


 嬉しそうな声が、電話から俺の耳に伝わってくる。


「・・・日曜、練習試合が入ったんだ」



「・・・そう・・・なんだ。仕方ないよ。志波くん試合出るんでしょ?頑張ってね」


 無理をさせている。わかっているけど、どうすることもできない。


「・・・・ごめんな」


「謝らなくていいよ。仕方ないことだもん。じゃあね、練習で疲れてるでしょ?」


「もう少し、話をしよう。まだ、足りない」


それから他愛もない話をした。

が今日大学であったことなどを、嬉しそうに話してくれた。

あぁ・・・なんか・・・・気が・・・遠く――。


「志波くん?」


 寝てしまったことに気づいたのは、目が覚めたからだった。

 電話は切られていて、メールが一件来ていた。からだった。


「お疲れさま。おやすみ。風邪ひかないでね」


と書いてあった。時計を見た。夜中の2時。腹の音が聞こえた。

なにも食ってなかったな・・・。朝に作って置いた料理を温めて、それを食べて、風呂に入って寝た。

何も夢を見なかった。俺、余裕ないのか?

朝が来て、飯を食って家を出た。

朝陽が眩しくて、目がくらんだ。冬の太陽もちゃんと輝いていた。

今日は土曜日。ひたすら練習だ。


「どうした、志波。元気ないんじゃないか?」


「いえ、そんなことは・・・」


「練習終わったらスタメン発表だから、気になるよな。大丈夫だ。
 お前センス良いから。監督も気に入ってるし」


「・・・・ありがとうございます」


「頑張っていこうな」


「はい」


プロになるっていう目標。ずっと待ってきた。

叶えると自分に誓った。だから仕方がないのか?何かが犠牲になるのか?


「集合!!」


「はい」


「明日のスタメンの発表をする」


犠牲が出るのは仕方がないのか?本当に?それでいいのか?


「志波」


「え、はい・・・」


「どうした?」


「いえ、なんでもありません。すみません」


 どうした、俺。しっかりしろよ。


「志波、良かったな」


「・・・先輩。ありがとうございます」


「・・・・どうした?なんか変だぞ」


「・・・・大丈夫です。ちょっと・・・疲れてるだけです」


「悩みあるんだったら聞くからな。今日はゆっくり休め。お疲れさま」


「はい」


水嶋先輩は憧れる。しっかりしていて、それでいてまっすぐで。気配りもちゃんと出来て。

俺にはないものを持っている。こういう人間に、あいつも惹かれるんだろうな。

俺じゃ、ダメなのかもしれないな・・・。こんな俺じゃ・・・。







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